ウェルカムジョン万の会HOME>幡多弁室幡多弁の特徴
幡多弁は、高知県西部で使われる方言です。
幡多弁が使われるのは、明治の町村制施行で置かれた36村で、現在、宿毛市、大月町、土佐清水市、四万十市、黒潮町、佐賀町、十和村(現四万十町)、大正町(現四万十町)です。
広くは四国南西部方言の中にあり、南予方言と強い共通性があります。
周囲は、
黒潮町佐賀は土佐弁との境界にあり、土佐弁の影響が強く、窪川町大正は津野との境界にあり、
先行する研究も多く、目新しい内容ではありませんが、地の利?を生かし、多くのことばを収集しました。
いくつかのサイトで、幡多弁の特徴を以下のように挙げています。このことについて、少し考えてみました。
1.東京式アクセントである
2.土佐弁と同じことばを多くもつが、語尾、アクセントが異なる
3.万葉時代の名残を持つ
4.大仰な表現が多い
5.土佐弁圏内で若い女性が使うと可愛い
6.土佐弁より優しい感じがする
1.東京式アクセント
幡多弁の特徴はアクセントにあると思われます。形容詞なつか|し|いでは、しにアクセントが付きますが、この時、人によっては5度ほども音が高くなりますし、かなり強く発音します。そして、差が大きいと幡多弁っぽく聞こえるような気がします。
2.土佐弁と同じことばを多くもつが、語尾、アクセントが異なる
土佐弁の「〜ちゅう」「〜きい」が幡多弁では「〜ちょる」「〜けん」になります。
よく使われる「のうがわりい」は、幡多弁では|のう|がわりいとなり、高く、強く発音します。
3.万葉時代の名残を持つ
これについては、よく分かりません。
「おらぶ」(叫ぶ)が、万葉集−高橋虫麻呂の長歌に見られます。「菟原壮士い 天仰ぎ 叫びおらび 地に伏し」
「あくた」(ゴミ)が、万葉葉−柿本人麻呂「出天なる 日売菅原の 草な刈りそね 蜷の腸 か黒き髪に あくたし付くも」
もありますが、あくたは幡多弁特有の語ではありません。
万葉時代ということであれば、記紀や風土記についても調べなければなりませんので、この点については今後の課題としたいと思います。
ただ、「とどしい:とほどほし=古事記」「ほとびる:ほとびにけり=伊勢物語東下り」「すんぱく:すばく=今昔物語今昔世俗部」など、これ以外にも「げに」「へんしも」「わさ」など、古語であると言える語はいくつかあります。
また、「死ぬ」「往ぬ」がナ行変格活用に近い形で活用されるのも、古語の名残だと言えるかもしれません。
活用形 | ナ行 | 幡多弁 |
未然 | な | な |
連用 | に | に |
終止 | ぬ | ぬる |
連体 | ぬる | ぬる |
已然 | ぬれ | ん(ね) |
命令 | ね | ね |
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