漂巽紀畧 巻之三
ウィットフィールド船長と捕鯨船にのった万次郎はジョンマンとなり、捕鯨の手伝いをしながら、ニューベッドフォードに至る。
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アメリカに着いた彼は、教育を受け、樽作りの職人となる。
やがて、捕鯨船に乗り、伝蔵らと再会を果たす。
帰国を決意したマンは金山で働き、ハワイの仲間と、帰国の船に乗るまでが三巻の内容である。
初めて見るアメリカの様子は、地理、人物、風習、政治体制などが詳しく語られるが、マンが字を学び、初等教育、また高等教育をうけるくだりはその事実が簡単に述べられるのみである。万次郎は自らの事を詳しく語らなかったか、小龍の興味を惹く内容ではなかったのか、いずれとも判別できない。
また、万次郎の捕鯨船での航海は、三年間に及ぶものであるが、途中、立ち寄った港の記述のみになっている。
彼は最初給仕係として乗船したようであるが、その後の船内投票では、航海長とともに最高点を獲得していることからも、船乗りとして相当な実力を持っていたことを思わせる。
フェアへーブンに帰国した後、カリフォルニアのサクラメントで、金の採掘に従事するのであるが、シチンボール(スチームボート)、レイロー(レールロード)の記述はなかなか詳しい。
およそ百日間に及ぶ金鉱での仕事で、六百ドルの収入を得たようである。
これがどれほどの金額であるのか判然としないが、三年間の捕鯨漁の給料が金三百五十枚とあるので、相当な大金であることは間違いない。また、カリフォルニアからオアフへの運賃は二十五ドルである。
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