幡多弁の現状とコンバータ「万次郎」の関わり、また、その言い訳について
幡多弁は、高知県西部、愛媛県南西部で使われる方言です。

幡多地方は古くから開けた地域でしたが、交流が少なかったためか、同地域内でもことばの差が大きく、それぞれアクセント、イントネーション、また、使われる単語も少しずつ異なります。互いに意味が通じない単語さえあります。

中村出身者と清水出身者は、互いにその出身地を見抜き、同市内出身者でも、出身地区が判別できる。同地区出身者なら、川上か川下かの違いが分かる、というぐらいの差があるのです。

現在、高知県西部の人口は10万人程度で、これに、故郷を出ても、なお、幡多弁が抜けない隠れ幡多弁人を合わせても、使用人口は30万人を超えることはないでしょう。(適当)

これに対し、土佐弁は、県都高知市を中心に、この言語を自在に操る70万人以上の人々と、その数倍の県外在住者を持っていて、(これも適当)2010年現在、

「高知弁」=「土佐弁」

という図式が成り立っているのです。

そのために、幡多が舞台となるテレビドラマや映画であっても、当然のように土佐弁が使われ、幡多人は少数民族の悲哀を味わってきました。

こうした絶望的な状況でも、特にどうしようとも思わないのが幡多人の特徴で、
「ちいと、ちがうけんど、まあ、よかろか。」
という態度をとることが多いのです。きつい夏の日差しがそうさせるのかもしれません。

まあ、もともと、土佐弁が高知弁と呼ばれることに異を唱える幡多人はほとんどいないとは思いますが…。

そんな中、幡多弁に少しだけこだわりを持って、幡多弁コンバータ「万次郎」を公開しました。

「万次郎」は、バリエーションの多い幡多弁の中でも、中浜万次郎の出身地、土佐清水市中ノ浜の方言を中心に作成しております。

幡多で生まれ育った人でも、知らなかったり、懐かしいと感じる語が多くなっていて、若い世代は違和感を感じるかもしれません。
今、バリバリの幡多弁を聞こうと思えば、地元の人同士での宴会に参加し、じっと耳を澄ませるしかありません。

イントネーションは若い世代もあまり変化はなく、語尾の「けん」「ちょう」「ちょる」は普通に使われていますが、仕事で幡多弁を使う人はいませんし、日常会話でも「おんだ」という一人称、「ぞ」「ねや」等の強めの助詞を使う人は少なくなってきました。

そうしたせいか、最近の幡多弁はずいぶん柔らかくなり、可愛いとか、優しいという評価を受けるようになっています。

しかし、昭和40年代頃まで、土佐清水で使われてきた幡多弁は、それほど優しいものではありませんでした。海で生きる人たちは声が大きく、語気も強く、普通に話していても、怒鳴られているように感じ、涙がこぼれることもたびたびでした。
想像でしかありませんが、万次郎が使っていたことばも、かなり荒っぽいものだったのではないでしょうか。

ところで、清水西部、大月、宿毛にかけては「いちきちもんちきち」と言われる、幡多弁圏内でも濃いと言われる方言体系があります。近い将来「いちきちもんちきち変換コンバータ」も作成を予定しておりますので、詳しい方は是非ご協力ください。

断るまでもないことではありますが、このコンバータは、幡多弁を体系的に研究したものではありません。翻訳結果も適当です。
あくまで遊びとしてご利用ください。
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